退職代行の非弁行為とは|違法業者を見分ける7つの確認点
本記事にはプロモーション(アフィリエイトリンク)が含まれます。広告収益がどのサービスを取り上げるかに影響する可能性はありますが、比較の基準と評価は各社の公式情報・公的資料に基づいて独自に決めています。 詳しい広告表記はこちら。
退職代行を調べていると、「民間業者が会社と交渉すると非弁行為になる」という説明を見かけます。 ただ、公式サイトには「交渉」「調整」「伝達」「サポート」といった言葉が混在しており、どこに線が引かれるのか分かりにくいものです。
結論から言うと、確認すべきなのはサービス名や広告の印象ではなく、誰が、依頼者に代わって、会社と何を話すのかです。 この記事の「違法業者を見分けるポイント」とは、特定の事業者を違法と判定することではありません。公式サイトや申込前の説明から、法的な問題が起きやすい表示を読者自身が確認するための手順を指します。
本記事は一般的な制度の説明であり、個別の事案についての法律相談ではありません。 個別の判断が必要な場合は、お住まいの都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)や弁護士にご相談ください。

結論:非弁行為を避けるには「交渉する主体」を確認する
退職代行で非弁行為が問題になるのは、弁護士・弁護士法人ではない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する代理や和解などの法律事務を業として扱う場合です。退職の意思をそのまま伝えることと、退職日・有給・未払い賃金などの条件について本人の代わりに会社と話し合うことは分けて考える必要があります。
申し込み前は、次の3点を先に確認してください。
- 契約する相手は誰か — 弁護士、労働組合、株式会社などのどれに当たるか
- 会社と話すのは誰か — 契約先自身か、提携先・外部の弁護士・労働組合か
- 話す内容は何か — 決定済みの意思を伝えるだけか、条件を動かす話し合いまで含むか
| 確認する場面 | 意思の伝達 | 交渉に近づく場面 | 見るべき記載 |
|---|---|---|---|
| 退職の意思 | 本人が決めた退職の意思を会社へ伝える | 会社の反対を受け、条件を変えながら合意を目指す | 誰が会社へ連絡し、反論や提案にどう対応するか |
| 退職日 | 本人が希望する日を伝える | 会社の提示日と折り合うよう日程を調整する | 退職日の『伝達』か『交渉・調整』か |
| 有給休暇 | 本人の取得希望を伝える | 拒否や時季変更の主張に対して法的な主張を返す | 有給取得を誰がどの権限で話すか |
| 未払い賃金・退職金 | 本人の請求意思があることを伝える | 金額・支払期限・解決条件を本人に代わって話し合う | 請求や和解まで対応すると書いていないか |
この表は、個別の行為が適法か違法かを判定するものではありません。同じ「伝える」という説明でも、会社から反論が出た後の対応まで含めれば実態が変わります。名称ではなく、実際の対応内容と担当主体を確認するための整理です。

運営主体ごとにできることの全体像は、弁護士・労働組合・民間事業者の権限の違いを整理した記事でも確認できます。
非弁行為とは何を指すのか
非弁行為とは、弁護士・弁護士法人ではない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関する法律事務を業として扱ったり、その取扱いを周旋したりする行為です。
根拠となる弁護士法72条は、次のように定めています。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
条文は、次の要素をすべて満たす行為を禁じています。
- 弁護士・弁護士法人ではない者が行う
- 報酬を得る目的がある
- 一般の法律事件に関する
- 鑑定、代理、仲裁、和解その他の法律事務を扱う、または周旋する
- それを業として行う

東京弁護士会は、紛争がすでに起きている事案や将来紛争が起きる可能性が高い事案で、非弁護士が法律相談や代理交渉を業として行うことを非弁行為と説明しています。退職代行についても、弁護士等でない者が法律的な問題について本人を代理して相手方と話すことは非弁行為だと示しています。
さらに同会は2025年10月22日、退職代行業者が残業代請求やパワハラ慰謝料などの法律的問題について、本人に代わって会社と交渉することは違法行為となる可能性があると注意喚起しました。
出典:e-Gov法令検索 弁護士法72条、東京弁護士会 非弁行為とは、東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反、東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起(いずれも2026年8月9日確認)。
非弁行為にはどのような罰則があるのか
弁護士法77条3号は、72条に違反した者について、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処すると定めています。
現行条文の表記は「拘禁刑」です。刑法改正前の懲役・禁錮を使った古い説明と混同しないようにしてください。
ただし、公式サイトの文言だけでは個別の違法性を判定できません。疑問の残る表示があれば契約前に質問し、回答が曖昧なら依頼を止めることが大切です。
出典:e-Gov法令検索 弁護士法77条(2026年8月9日確認)。


「通知」と「交渉」はどこで分かれるのか
退職者本人がすでに決めた意思や希望を、そのまま会社へ届けるのが通知・伝達です。これに対して、会社の反論や別案を受けて条件を動かし、本人に代わって解決を目指す行為は交渉に近づきます。
たとえば、本人が決めた退職日を伝えるだけなら連絡役としての性格が中心です。一方、会社の反対を受けて代行業者が日程を提案し直したり、法的な根拠を示して説得したりすれば、単なる伝達とは異なる問題が生じます。
有給休暇も同じです。取得希望を伝えることと、会社の拒否に対して法的な主張を組み立て、取得日を話し合うことは同じではありません。有給の残日数と退職日の組み方は、退職前の有給消化を逆算する手順で先に整理できます。
公式サイトに「伝達のみ」とあっても、次の点は質問してください。
- 会社が退職日や有給取得に反対した場合、誰が返答を決めるのか
- 未払い賃金・退職金・損害賠償の話が出た場合、誰につなぐのか
- 対応範囲を超えたとき、追加費用や別契約が必要になるのか
退職代行の依頼後も、貸与物の返却や書類の受け取りといった実務は本人に残ります。退職手続きを「返す・受け取る・切り替える」に分けた一覧も合わせて確認すると、会社との連絡がどこで発生しそうかを見通せます。
労働組合型なら会社と交渉できるのか
労働組合には、労働組合法6条に基づく交渉権限があります。ただし、サービスが「労働組合型」と名乗っているだけで、すべてのケースを自動的に安全と判断できるわけではありません。
労働組合法2条は、労働組合を、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善などを主な目的として組織する団体またはその連合団体と定義しています。同法6条は、労働組合の代表者または労働組合から委任を受けた者が、労働組合や組合員のために使用者と交渉する権限を持つと定めています。
さらに同法7条2号は、使用者が雇用する労働者の代表者との団体交渉を、正当な理由なく拒むことを不当労働行為として禁止しています。
| 条文 | 定めていること | 退職代行で確認する意味 |
|---|---|---|
| 労働組合法2条 | 労働者が主体となり、自主的に組織する労働組合の定義 | 名称だけでなく、どの労働組合が運営・対応するのかを見る |
| 労働組合法6条 | 代表者や委任を受けた者が、組合・組合員のために使用者と交渉する権限 | 利用者が組合員となり、誰が委任を受けて交渉するかを見る |
| 労働組合法7条2号 | 使用者が正当な理由なく団体交渉を拒むことを禁止 | 労働組合が交渉権限を持つ制度上の根拠を確認する |

ここで重要なのが、東京弁護士会の注意喚起です。同会は、労働組合の名目を形式的に利用しているだけで実態を伴わない場合があり、実態を伴わない「労働組合」は団体交渉ができないと指摘しています。都道府県から資格審査を受けた労働組合であっても、実態を確認する必要があるという説明です。
したがって、「労働組合」「ユニオン」という名称だけで決めず、次を確認してください。
- 労働組合の正式名称、所在地、連絡先を確認できるか
- 利用者がどの時点で組合員になるのか
- 交渉担当者は組合の代表者または委任を受けた者か
- 資格審査の表示がある場合、審査機関と時期が書かれているか
- 集客する会社と労働組合の役割分担が説明されているか
これらは違法性を断定するためではなく、運営の実態を確認する質問です。契約先や担当者がはっきりしない場合は、申込みを急がないほうがよいでしょう。
出典:e-Gov法令検索 労働組合法2条・6条・7条、東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反 その2(いずれも2026年8月9日確認)。

「弁護士監修」「弁護士紹介」と書いてあれば大丈夫か
「弁護士監修」と、依頼者の代理人として弁護士が対応することは別です。監修の表示だけでは、誰と契約し、誰が会社と話し、追加の法律相談が必要になったときに誰が受任するのかまでは分かりません。
弁護士法72条が禁じる行為には、法律事務を自ら扱うことだけでなく、周旋も含まれます。東京弁護士会も、お金を受け取って法律的な問題の処理を他者へあっせんすることは非弁行為だと説明しています。
そのため、提携先や紹介先があるサービスでは、次の流れを確認してください。
- 退職代行の料金を受け取るのは誰か
- 退職の連絡を行うのは誰か
- 法律問題が生じたと判断するのは誰か
- 弁護士への相談は別契約になるのか
- 紹介・取次ぎに対して費用が発生するのか

「弁護士が関わっている」という一文だけで判断せず、弁護士本人が依頼を受けて代理するのか、一般的な助言や監修にとどまるのかを分けて読んでください。弁護士法人が直接受任する形をとっている例としては弁護士法人ガイア法律事務所の退職代行があり、契約相手と対応範囲を公式サイトで確認できます。
出典:e-Gov法令検索 弁護士法72条、東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反(いずれも2026年8月9日確認)。
違法業者を見分けるために公式サイトで何を確認するか
広告の一文だけで特定業者の違法性は判断できません。情報が見当たらない、質問への回答が曖昧、説明が食い違うといった状態を、依頼を見直す材料にします。

1. 運営主体の正式名称があるか
会社、弁護士法人、労働組合のどれが契約主体なのかを、利用規約なども含めて確認します。
2. 「交渉する」と書いているのは誰か
「交渉可能」「会社と調整」とあれば、担当主体と、契約・担当が切り替わる時点を質問します。
3. 通知後に会社が反対した場合の流れがあるか
会社の返答を本人へ伝えるだけか、担当者が条件を調整するのかで、サービスの役割は異なります。
4. 有給・未払い賃金・退職金の説明が具体的か
希望の伝達だけか、請求や交渉まで行うのかを、項目ごとに確認してください。
5. 労働組合の実態を確認できる情報があるか
正式名称、所在地、加入方法、交渉担当者、運営会社との関係を見ます。資格審査の表示だけで判断しないことも大切です。
6. 弁護士の関わり方が明確か
監修・顧問・提携と代理対応は別です。法律問題が起きたとき、別途相談・委任契約・費用が必要かを確認します。
7. できないことが書かれているか
訴訟には対応しない、金銭請求は別契約になるなど、対応範囲の限界が説明されているかを見ます。
料金だけで依頼先を選ぶと、会社とのやり取りが始まってから対応範囲の不足に気づくことがあります。退職代行のデメリットと申込前の業者選びチェックリストでは、運営主体・料金・対応範囲・表示の姿勢という4つの軸で整理しています。
公式サイトに気になる表示があったらどうすればよいか
気になる表示を見つけても、SNSなどで「この業者は違法だ」と断定するのは避けてください。必要なのは、公表ではなく契約前の確認です。
次の順で進めると、曖昧なまま支払う事態を避けやすくなります。
- 該当する説明を保存する — URL、確認日、画面の表示を控える
- 担当主体を質問する — 「会社と交渉するのは誰ですか」と具体的に聞く
- 会社が反対した後の対応を質問する — 伝達で止まるのか、条件調整まで行うのか確認する
- 回答を文面で受け取る — 電話だけでなく、メールやチャットなど記録の残る形で確認する
- 説明が曖昧なら契約しない — 急いでいても、対応範囲が分からないサービスへ先に支払わない
- すでにトラブルがあるなら相談窓口へ進む — 一般的な労働相談は総合労働相談コーナー、代理交渉や法的判断が必要なら弁護士へ相談する

まだ会社へ自分で退職を伝えられる可能性があるなら、辞めたいと言えない理由を分けて切り出し方を準備する方法を先に試す選択肢もあります。退職代行が必要かどうかを決めることと、依頼先の権限を確認することは別の判断です。
相談先:厚生労働省 総合労働相談コーナー(2026年8月9日確認)。
よくある質問
民間の退職代行は、退職の意思を伝えるだけなら利用できますか。
本人がすでに決めた退職の意思をそのまま会社へ伝えることと、本人に代わって法律的な問題を交渉することは分けて考えられます。ただし、会社から反対や条件提示があった後の対応によって実態は変わるため、申込前に「どこで対応が止まるか」を確認してください。個別サービスの適法性は、公式サイトの肩書だけでは判断できません。
労働組合型なら、非弁行為の心配はありませんか。
労働組合法6条は労働組合の代表者などに交渉権限を認めていますが、「労働組合型」という表示だけで判断はできません。東京弁護士会は、実態を伴わない労働組合は団体交渉ができないと指摘しています。労働組合の正式名称、加入方法、交渉担当者、運営会社との関係を確認してください。
「弁護士監修」と書かれたサービスなら安全ですか。
監修と、依頼者の代理人として弁護士が会社へ対応することは別です。契約相手、会社へ連絡する担当者、法律問題が起きたときの受任方法と費用を確認してください。「弁護士監修」という表示だけでは対応範囲までは分かりません。
公式サイトに「交渉可能」と書いてあれば避けるべきですか。
「交渉可能」という言葉だけで違法とは判断できません。弁護士が対応するのか、労働組合が組合員のために団体交渉するのか、それ以外の事業者が行うのかで制度上の根拠が異なります。誰がどの権限で交渉するのかを確認してください。
退職代行との契約後に不安を感じた場合、どこへ相談できますか。
労働条件や会社とのトラブルについては、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが無料で相談を受け付けています。代理交渉や契約の法的評価が必要な場合は、弁護士へ相談してください。当サイトでは個別のサービスや事案の適法性を判定できません。
まとめ
- 非弁行為とは、非弁護士が報酬目的で法律事件に関する法律事務を業として扱ったり、周旋したりする行為
- 弁護士法77条3号の罰則は、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 退職意思の伝達と、退職日・有給・金銭などの条件交渉は分けて確認する
- 労働組合には労働組合法6条の交渉権限があるが、東京弁護士会は実態を伴わない労働組合について注意を促している
- 「弁護士監修」「労働組合型」という表示だけでなく、契約主体・交渉担当者・対応範囲を確認する
- 違法性を自分で断定するのではなく、説明が曖昧なサービスとは契約せず、必要に応じて公的窓口や弁護士へ相談する
この記事で示した7つの確認点は、特定の業者を評価するためではなく、公式サイトの説明と実際の担当主体を照らし合わせるためのものです。退職代行を選ぶときは、料金や受付時間より先に、会社と話すのは誰か、どこからが交渉になるのかを確認してください。
この記事で参照した法令・公的見解
- e-Gov法令検索 弁護士法72条・77条
- e-Gov法令検索 労働組合法2条・6条・7条
- 東京弁護士会 非弁行為とは
- 東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反
- 東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反 その2
- 東京弁護士会 退職代行サービスと弁護士法違反に関する注意喚起(2025年10月22日発表)
- 厚生労働省 総合労働相談コーナー
法令・公的見解は2026年8月9日に確認しました。個別の行為が非弁行為に当たるかどうかは、契約や対応の実態によって判断が変わるため、必要に応じて弁護士へご相談ください。